金星 Venus

太陽系惑星のなかで太陽から2番目の軌道を回る第2惑星.

地球から見て,太陽,月を除き最も明るい天体なので明星とも言う.金星の最大離角は47度程度で,夕方や明け方に良く輝いて見えることから,特に宵の明星,明けの明星と呼ばれる.

金星を望遠鏡で見ると,内惑星であるために位相角の変化によって月のように満ち欠けをして見える.三日月のように細く見える時が内合前後の時期なので,光度は明るく見え,最大ではマイナス4.7等にも達する.

金星は公転と逆方向にゆっくりと自転をしており,自転周期は約243日,公転周期は約225日なので,金星の一昼夜は約117日に相当する.

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金星は地球の双子と言われるほどに,組成や規模が似た惑星であるが,その表面の様子は地球と全く異なっている.それは,地球では石灰岩中に大部分が含まれている二酸化炭素が,金星の場合には大気中に気体として存在しているからである.

二酸化炭素による温室効果のために,金星の表面温度は約470度にも達し,表面気圧は地球の約90倍にもなっている.保温性のよい大気のために昼夜の側での違いは少ない.紫外線で良く見え,金星の模様の特徴となっている雲は,高度50kmから80kmくらいのところで硫酸が凝結したものである.この模様の変化の観測から金星の上層大気の風速は時速360km程度で,赤道から極域までを覆って吹いていることがわかっている.

金星周回軌道に乗ったマゼラン探査機は1990年に金星の地形に対する合成開口レーダー観測の結果を送信し始め,これによって厚い雲のベールに覆われた金星の地形の様子が具体的にわかるようになった.表面はほとんどなだらかな地形であるが,巨大な高地が2個所みつかり,イシュタル台地とアフロディテ台地と名づけられた.また,活火山や溶岩流といった火山地形,そして数多くのクレーターも発見されている.

公転周期224.7日
自転周期243.02日
一昼夜の長さ116.8日
会合周期584.0日
軌道平均速度35.02km/s
太陽からの最小距離1.075×108km
太陽からの最大距離1.089×108km
軌道長半径0.7233天文単位
約1億820万km
離心率0.0068
軌道傾斜角3.395度
近日点黄経注)131.564度
昇交点黄経注)76.687度
太陽より受ける輻射量地球の1.91倍
反射能0.78
極大光度マイナス4.7等
地球から平均の最近距離での視半径30.16"
赤道半径6052km
扁率0
赤道における重力地球の0.91倍
体積地球の0.857倍
衛星数0
質量地球の0.8150倍
密度5.24g/cm3
赤道傾斜角177.4
脱出速度10.36km/s

注)昇交点黄経・近日点黄経は,1997年央の値をJ2000年分点に準拠して表したもの

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参考文献

使用した数値は一部を除いて国立天文台編「理科年表」平成9年版(丸善)による.