ヒッパルコス・タイコ・カタログ HIPPARCOSandTYCHOCatalogues

ヒッパルコス衛星によって観測された,恒星の非常に精密な位置・固有運動・年周視差を記載したカタログ.恒星の数はそれぞれ約11万,106万.

ヒッパルコス衛星の観測装置は天球上で約60度離れた2つの天域を同時に観測して天体の角距離を非常に精密に測定できるように作られていた.衛星の自転・公転で天球を走査して,全体を組み合わせると,全天の恒星の絶対位置を超高精度で決定できる.4年間の観測期間の間の位置の時間的変化から年周視差・固有運動をいまだかってない精度で決定できた.こうして作られたヒッパルコス・カタログはほぼ9等星まで(最も暗い星は12.4等)の118,218個の恒星を含み,その精度は,位置が0.7mas(1masは千分の1秒角),年周視差が1mas/年,固有運動が0.8masと言われている.位置の座標系は地上の超長基線電波干渉計(VLBI)によってクエーサーなどに結び付けられた国際天文基準座標系(ICRS)に準拠している.

ヒッパルコス衛星はまた,姿勢制御用の測定装置によって多数の恒星の位置と光度を観測した.このデータを収めたものがタイコ・カタログで,11.5等までの恒星1,058,332個を含み,位置精度は25masの程度である.

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参考文献

宮本昌典・辻本拓司:1997,天文月報,90, 357.