■ 人名辞典【く】 ページ  -

クカールキン Kukarkin, Boris Vasilevich (1909−1977)

ソ連の天文学者.1932年天文学研究所に入り,1952−56年同所長.1951年モスクワ大学教授.変光星及び銀河系の研究の権威.変光星総カタログGeneral Catalogue of Variable Starsの編集責任者,同補遺の協同責任者.変光星に基づく銀河系の構造と進化に関する著書がある.


クシュヤール・イブン・ラッバーン Kushyar ibn Labban, ibn Bashahri al-Jili, Abu al-Hasan (1000頃)

アラビア(ペルシャ系)の天文学者.三角法とインド式十進法計算で著名.アラビアで知られていた十進法計算を天文計算に応用しようとした.


クスター・イブン・ルーカー Qusta ibn Luqa, al-Ba‘labakki (9世紀後半)

ギリシャの科学をアラビア世界に紹介.865年アルメニアに招かれる.哲学・数学・天文学・音楽などの広い分野で活躍.天球,天球儀について論じた著作がある.


グッデーカー Goodacre, Walter (1856−1938)

イギリスのアマチュア天文学者.リヴァプール天文学会の月面部長を務め,1897年イギリス天文学会月面部長.1910年直径1.96mの月面図を発表し,さらに直径1.50mの25枚分割の月面図を著す.1885年王立天文学会会員,1922−24年イギリス天文学会会長に推される.


グッドリック Goodrike, John (1764−1786)

イギリスの天体観測者.生後間もなく重病により聴覚を失う.ウォリントン・アカデミー卒業後,ヨークで観測を始め,アルゴルの変光周期を詳しく観測し研究した.またこと座β,ケフェウス座δの変光を発見.


国友藤兵衛 Kunitomo,Tobe (1778-1840)

江戸時代後期の近江国友村の鉄砲鍛冶.日本で初めて反射望遠鏡を製作した.オランダ製の望遠鏡を見て,1832年から製作を開始し,数台を造ったと言われる.現在,望遠鏡は上田市立博物館,彦根城博物館(寄託)等に残る.1835年から15ケ月間にわたる太陽黒点の観測記録など,天体の観測記録が残っている.望遠鏡の製作の過程などについては有馬成甫著「一貫斎国友藤兵衛伝」に詳しい.

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クライン Klein, Hermann Joseph (1844−1914)

ドイツの天文学者,気象学者.ケルンで本屋を営んでいたが,1874年地球の形についての論文でPh.Dを取得.1879年月面のホイヘンス峡谷に新しく生じたクレーターを発見,ついで1882年クレーター内に閃光を記録した.1880年新聞社の出資で作られた気象,天文観測所の所長となる.天文,気象の普及に尽力した.


クラヴィウス Clavius, Christopher (1537−1612)

イタリアの数学者,天文学者.コインブラ大学で学び,1565年からコレッジョ・ローマで数学を教える.主著「ユークリッド原論」は有名.三角法など各分野に業績を残した.天文学ではプトレマイオス説に立ってコペルニクスを批判.ガリレイの望遠鏡による諸発見を確認したが,解釈や理論は受け入れなかった.現在のグレゴリオ暦を教王庁に提案,採用される.


クラーク Clark, Alvan Graham (1832−1897)

アメリカの天文装置製作者.47cm望遠鏡をテストするために分離の困難な二重星を観測.1862年,存在が予言されていたシリウスの伴星を発見.19世紀後半ほとんどのアメリカの天文台に赤道儀式望遠鏡,屈折望遠鏡を納める.


クラーク Clerke, Agnes M. (1842−1907)

イギリスの天文学史家,著述家.「19世紀天文学史」(1885年)など.エディンバラ・レビュー,オブサーヴァトリーに寄稿.1903年王立天文学会名誉会員.


グラップ Grubb, Sir Howard (1844−1931)

グルップともいう.アイルランドの望遠鏡製造業者.1870年から1925年にかけて中口径ないし大口径の望遠鏡を主要天文台に納入.


クラドニ Chladni, Ernst Florenz Friedrich (1756−1827)

ドイツの物理学者.1782年ライプツィヒで法律の学位を受ける.ヴィッテンベルクで音響学,振動の研究を行う.1787年砂によるパターンを用いて平面の振動を示すことに成功.振動の構造と振動数を分類.また早くから隕石の地球外起源説を唱える.


クラブトリー Crabtree, William (1610−1644?)

イギリスの天文学者.マンチェスターで洋服屋を営んだ.観測からケプラーのルドルフ表が最も優れていることを確認し,発展を試みた.これに基づいて1639年の金星の太陽面通過を予言,観測を行って金星の大きさと地球太陽間距離のよい値を得た.


クリーヴス Creaves, W. M. H. (1897−1955)

ケンブリッジ大学ののちグリニジ天文台主席助手.天体力学と地磁気学の専門家で,特に恒星の分光写真を中心とする天体物理学の分野に活躍.1938年スコットランドの王室天文官,エディンバラ大学の天文学教授,また王立天文台長.1943年王立天文学会会員,1933−39年同学会幹事,1947年同学会会長.国際天文学連合の第25委員会委員長.


クリスティー Christie, Sir William Henry Mahoney (1845−1922)

イギリスの天文学者.ロンドンのキングス・カレッジからケンブリッジのトリニティー・カレッジに進み,1868年卒業.1870年からグリニジ天文台の主任助手.位置天文学とともに黒点,視線速度など天体物理観測にも取り組む.1881年天文台長.マイクロメーターによる二重星の測定プログラムを開始.1881年から王立学会会員,1890−92年王立天文学会会長.


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