■ 人名辞典【か】 ページ  -

カプタイン Kapteyn, Jacobus Cornelis (1851−1922)

オランダの天文学者.ユトレヒト天文台でPh.D.を取得し,ライデン天文台員.1878年フロニンゲン大学天文学・理論力学教授となる.恒星の空間分布と運動に関して業績を上げる.1896−1900年南天の星のカタログを製作.1904年固有運動が2つの星の流れであることを発見し,1922年には恒星系の力学理論を提示.また,絶対光度概念を導入.選択領域の選定など.


カプラ Capra, Baldassar Baldesar (1580頃−1626)

イタリアの天文学者.パドヴァで天文観測を行う.1605年に,ガリレイの新星の観測を批判した書を出版.1606年,ティコの体系についての著書を出版し,1607年には,比例コンパスについてガリレイの書とほとんど同一のものを出版したが,典拠を述べず,パドヴァから去る.


カミュ Camus, Charles-Etienne-Louis (1699−1768)

フランスの数学者,天文学者.1727年,科学アカデミーの懸賞に入賞し,同年科学アカデミーの会員に選ばれる.また,1730年建築アカデミー会員となり,幾何学教授.1748年メチェル学院の設立に参画.力学では歯車とその利用,水の汲み上げの研究を行った.また子午線の長さについて研究し,1744−47年のアカデミーによるフランス地図の出版事業に参加.


カムパーニ Campani, Giuseppe (1635−1715)

イタリアの装置製作者.レンズ磨き職人で,静かな夜間用時計を発明.その後多数の望遠鏡,顕微鏡を作り,1763−64年接眼用の組み合わせレンズを発明.また,ネジ型のマイクロメーターを開発.


ガモフ Gamow, George (1904−1968)

ロシア系アメリカ人,物理学者.星のエネルギー源が核反応であるという理論を完成した.また,ビッグバン後の各種の元素の生成過程を考えた.また,ビッグバン宇宙論の証拠として宇宙背景放射の存在を予想した人でもある.さらに,生化学分野の研究も行い,核酸が遺伝情報として働くことを提唱した.物理学に関する一般むけの解説書「ふしぎの国のトムキンス」を著したことでも有名.

1928年レニングラード大学を修了し,ケンブリッジ大学を経て1930−31年コペンハーゲン大学助教授,1931−33年レニングラード科学アカデミー研究部長,1934−35年パリ大学・ロンドン大学講師を歴任し,1934年ジョージ・ワシントン大学教授に就任.のちコロラド大学に移る.1928年,原子核のα崩壊に量子力学を応用して“ガイガー・ルメートルの法則”を説明した.

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参考文献

アシモフ「科学技術人名事典」共立出版


カランドレリ Calandrelli, Giuseppe (1749−1827)

イタリアの天文学者.イエズス会コレッジョ・ロマーノのグレゴリオ大学の数学助教授で,1787年同大学に天文台を設立し,台長.位置天文学に専念.グレゴリオ暦や,ローマ時代の天文学についての歴史的研究の論文もある.


カランドレリ Calandrelli, Ignatzio (1792−1866)

イタリアの天文学者で,ジュセッペ・カランドレリの甥.1845−48年ボローニャ大学天文学教授兼天文台長を務め,法王庁付属大学教授兼カンピドリオ天文台長となる.位置天文学に専心,1853年に子午環を備え星のカタログを製作,大気の屈折を研究.また,多くの小惑星と彗星の軌道計算を行う.


カランドロー Callandreau, Pierre Jean Octave (1852−1904)

フランスの天文学者.1874年エコール・ポリテクニクを卒業,パリ天文台助手.1892年科学アカデミー会員.1893年からエコール・ポリテクニク天文学教授.1884−1904年「天文学報」編集.摂動論を発展させ,F.チスランの木星による彗星捕獲理論を展開.フランス天文学会会長として流星の系統的観測を推進.


カリポス Callippos (BC370頃−BC300頃)

ギリシャの天文学者.太陽年と太陰年の公倍数を求め,“カリポス周期”と呼ばれる76年の周期をつくった.また,四季の長さの決定を行ってその不等性を説明しようとした.さらに,エウドクソスによる天文理論をアリストテレスとともに発展させた.


ガリレイ Galilei, Galileo (1564−1642)

イタリアの物理学者,天文学者.1589年ピサ大学教授,1592−1610年パドヴァ大学教授.1609年自らガリレオ式望遠鏡を製作,翌年木星の4大衛星,月面の凹凸,金星の位相変化,太陽黒点などを発見し,同年「星界からの報告」を発表,コペルニクスの地動説を支持.1610年以降フィレンツェのトスカナ大公の保護のもとに研究を行う.ローマ法王庁から1616年地動説禁止令が出され,ガリレイは宗教裁判にかけられて地動説放棄を命ぜられたが,1632年「天文対話」を発表したため翌年夏フィレンツェ郊外に幽閉される.1636年「新科学対話」を出版する.慣性法則,運動の相対性などを発見.


カルキディウス Chalcidius (4世紀頃)

ヨーロッパ(中世ラテン世界)初期の著述家.プラトンの「ティマイオス」をラテン語に訳し,注釈書を書く.この中で,ヘラクレイデスの部分的太陽中心説を紹介.


カルマン Karman, Theodoe von (1881−1963)

ハンガリー生まれの航空工学者.1902年ブダペスト大学を卒業,1906年ゲッティンゲン大学に留学.1912年アーヘン工科大学教授に就任,新設の航空研究所の所長.1930年カリフォルニア工科大学の招請でアメリカに移住,グッゲンハイム航空研究所所長.主な業績は,1911年のカルマン渦列の安定の解明,1921年の摩擦抵抗の理論,1930年の力学的相似による乱流理論,1938年の等方性乱流の統計理論,1939年の殻構造の弾性安定の研究,1947年の遷音速相似則の提唱など.


ガレ Galle, Johann Gottfried (1812−1910)

ドイツの天文学者.1835年ブレスラウ大学天文台長兼教授となる.ベルリン天文台時代に1838年土星のC環,3個の彗星を発見.1846年9月23日夜,ルヴェリエの依頼により光度8等の新天体(海王星)を発見.1864年には414個の彗星の新軌道表を発表し,また1873年に小惑星の観測による太陽視差決定法を提案し,自ら新しい太陽視差の値を得た.


カント Kant, Immanuel (1724−1804)

ドイツの哲学者.1755年博士号を取得.以後ケーニヒスベルク大学の私講師を務め,1770年論理学・形而上学の教授.自然科学など理論的認識の根拠に対して認識批判を行い,自然界の機械的認識と人間界の目的論的認識との調停に努める.1755年,ラプラスとともに太陽系生成に関する星雲説を提唱.このほか,自然地理学や力学についての論考がある.


カンパヌス Campanus, Novariensis (?−1296)

イタリアの天文学・数学者.ユークリッドの「原論」のラテン語テキストを最初に確立した.天文学の著作には,プトレマイオス天文学に基づく宇宙体系の解説とエクアトリウム(惑星位置計算板)の製作法を記述した専門書「惑星理論」,一般向けに解説した「天球論」,暦のための理論や計算法を述べた「コンプトゥス」などがある.


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