■ 人名辞典【き】 ページ 

キイル Keill, John (1671−1721)

イギリスの自然哲学者.エディンバラ大学を卒業後オックスフォード大学に移る.1699年セデリアン自然哲学教授の助手.1700年王立協会会員,1712年サベリアン天文学教授となる.ニュートン的神学を唱え,1694年以来,ニュートン自然哲学の実験講義を行う.


キャノン Cannon, Annie Jump (1863−1941)

アメリカの天文学者.1898年ハーヴァード大学天文台のスタッフに加わり,ピッカリング台長のもと,天体写真の解析を行う.1901年分類の基礎となるスペクトルを公刊.約10等級より明るい225,300個の星のスペクトルをまとめ,これを1924年までにヘンリー・ドレーパー・カタログ(HDカタログ)として出版する.その後46,850個の拡充を1936年まで続けた.これはHDEといわれている.さらに第2改訂も行われ,合計13万個のカタログ拡充を行った.1911年から天体写真コレクションの管理者.1938年からボント記念天文学者のポストに任命される.女性天文学者の先駆者.


キャリントン Carrington, Richard Christopher (1826−1875)

イギリスの天文学者.1849−52年ダーハム大学付属天文台,その後私設天文台をつくる.極の周辺の11等星以上3735のカタログを1858年に完成.太陽黒点観測において,太陽面上の黒点の多少だけでなく,その位置も測定し,太陽の自転軸を精度よく決定し,緯度による黒点分布と自転速度の違いについて経験則を確立.また1859年,史上最初のフレア観測を行う.1860年王立学会会員,1857−62年王立天文学会書記.


キャンベル Campbell, William Wallace (1862−1938)

アメリカの天文学者.1886年ミシガン大学卒業.コロラド大学数学講師を経,1888年からミシガン大学講師.1891年カリフォルニア大学リック天文台のスタッフとなり,1901年から同台長.1923年からカリフォルニア大学学長.1893年ミルズ分光器を設計する.火星の大気は希薄であり,酸素と水が欠乏しているため生命の維持は不可能と結論づけた.また太陽の固有運動の決定を行うための体系的な視線速度測定は重要な成果である.


キュストナー Kustner, Karl Friedrich (1856−1936)

ドイツの天文学者.ストラスブール大学を卒業後,ハンブルク天文台,ベルリン天文台を経,1891年ボン天文台長兼教授となる.1888年系統的な経度変化をはじめて発見.1908年,1916年に恒星表を出版.変光星,星団・星雲の研究にも寄与した.


キーラー Keeler, James Edward (1857−1900)

アメリカの天文学者.1881年ジョンズ・ホプキンス大学卒,アレゲニー天文台のスタッフとなる.1883−1884年ドイツのハイデルベルク大学・ベルリン大学に留学し,1886年リック天文台の観測助手,1888年観測技師.1891−98年アレゲニー天文台長となり,土星の環が彗星状の物質・小粒子であることを証明した.1898年リック天文台長に就任,星雲のうち多数が渦状星雲であることを明らかにした.


ギル Gill, Sir David (1843−1914)

イギリス・スコットランドの天文学者.アバディーン大学卒業後しばらく時計製造.まもなく測微尺を用いて恒星の視差測定を行い,さらにリンゼー卿個人天文台の天文台長.1874年インド洋西部のモーリシアス島で金星の太陽面通過を観測し,1879年太陽視差決定のため大西洋上のアセンション島で火星を観測.同年ケープ天文台長.南半球の恒星位置観測を行う.カプタインと協力して,「写真掃天表」を作成した.


ギルデン Gylden, Johan August Hugo (1841−1896)

スウェーデンの天文学者.1860年大学卒.1862−71年プルコワ天文台(ソ連)員,1871−96年ストックホルム天文台長.摂動論の権威で,惑星・衛星の運動を詳しく研究.地球大気の組成,大気差,恒星の視差や固有運動を研究し,緯度変化も研究.


キルヒ Kirch, Christfried (1694−1740)

GottfriedKirchの息子.ライプツィッヒで天文研究を始める.1716年,ベルリン天文台長.木星の衛星の食から,ベルリン・パリ・ペテルスブルクを通る子午線の経度差の計算を試みる.1723年からフランス科学アカデミー通信会員.


キルヒ Kirch, Gottfried (1639−1710)

ドイツの天文学者.天体の組織的観測に取り組んだ先駆者で,いくつかの彗星を発見したほか,はくちょう座の変光星(はくちょう座χ)を発見し周期を測定した.フリードリッヒ1世に招かれて新設の天文台長に就任.1685年グレゴリオ暦,ユダヤ暦,トルコ暦の対照暦を刊行,没するまで毎年続刊.


キルヒホフ Kirchhoff, Gustav Robert (1824−1887)

ドイツの物理学者.1847年ケーニヒスベルク大学卒.1850−54年ブレスラウ大学員外教授となる.1854年ハイデルベルク大学教授,1875年ベルリン大学理論物理学教授.電気学上では1847年回路の法則を発見,1849年電流と静電気を数学的に統一,1857年導体中での電気運動の一般理論を提出.分光学上は,ブンゼンと協力して各種金属や化合物の元素スペクトルを研究,分光器の改良も行う.1859年には,フラウンホーファー線を太陽大気の吸収として説明する分光学の基礎を確立した.放射の研究も行い,1859年には吸収と放射の比が波長と温度の関数であり物質によらないというキルヒホフの法則を確立し,1862年には黒体概念を導入し,熱放射研究の基礎をおく.


ギンツェル Ginzel, Friedrich Karl (1850−1926)

オーストリアの天文学者.1886年以降ベルリンの天文計算局員.天文年代学の権威.古代の日月食について研究.


キーンレ Kienle, Hans (1895−1975)

ドイツの天文学者.1924年にゲッティンゲン天文台長,1939年にポツダム天文台長.のちにケーニヒシュトゥール天文台長となった.特に恒星の分光測光の領域で活躍.


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