人工衛星の軌道

現在の人工衛星の軌道は,大きく次のように分けられる.

静止軌道:赤道上の高度約36000km,軌道傾斜角ほぼ0度の軌道.円軌道に近く,地球の自転周期23時間56分と同じ周期なので,地上からは同じ位置に見える.

同期軌道:周期は静止軌道と同じだが,軌道傾斜がついているもの.衛星は,地上から見ると,ある位置を中心に北にいったり南にいったりするようにみえる.

低軌道:様々な高度,離心率,軌道傾斜角をとる.特に,日に何度か,ある地点の上空を通る軌道を回帰軌道,北極南極上空を通る軌道を極軌道という.

モルニヤ軌道などの特殊な長楕円軌道の衛星もある.

1994年までに打ち上げられた人工衛星4569個のうち,429個が静止衛星である.低軌道の人工衛星は,スペースシャトルのような有人宇宙船,ハッブル宇宙望遠鏡のような科学衛星,ビッグバードのようなスパイ衛星,リモートセンシングを行なう資源衛星,GPSのような測地衛星(これはやや軌道が高い)等様々である.そのうち静止衛星はひまわりに代表される気象衛星と,ゆりに代表される通信・放送衛星がほとんどである.静止衛星は赤道上空の同じ高度に位置するため,ぶつからないよう連邦通信委員会(FCC)から場所が割当てられている.非常に高い軌道にある静止衛星を打ち上げるには,まず遠地点が36000kmの長楕円軌道(トランスファー軌道)に打ち上げ,遠地点でアポジモーターをふかして軌道をかえ,円軌道にのせる方法がとられる.

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