イェール・輝星カタログ YaleCatalogueofBrightStars(BS)

イェール大学天文台で編纂されている,ほぼ6.5等よりも明るい9000個あまりの恒星について各種のデータを集めたカタログ.

1930年にイェール大学天文台長であったF.シュレシンジャーが,ハーヴァード改訂光度カタログ(HR)の恒星に対して出来るだけ均質なデータを収集して総合カタログとしたのが始まりである.第2版(1940)からはL.F.ジェンキンズが編集に加わり,第3版(1964)以後はD.ホフレイトが中心となり,第4版(1983)にはストラスブール天文台のC.ヤシェクが,第5版にはNASAのW.H.ウォーレンが協力した.なお第5版は電子版のみで,まだ印刷刊行はされていない.

その由来からも分かるように,BSカタログの星の番号はHRカタログでのそれと同一である.そのため星の名前としてHRなん番という表記が用いられることがあるが,HRよりもBSを使うことが推奨されている.HRの9,110ヶの天体のうち19ヶ(14ヶの新星超新星,4ヶの球状星団アンドロメダ銀河)には,BSのほとんどのデータが空白となっている.

またHRは眼視測光であるため,現代的な測光の観点からみれば,限界等級付近の恒星は甚だ不完全にしか記載されていない.例えば,BSの最も暗い星は8.0等であるのにたいし,5.6等の星がBSから洩れている.これを補って7.10等までの恒星の完全なカタログとなるように,2,611ヶの恒星を含む補遺が出版されている.

第1版の主なデータ項目は14種類であったが,第5版では30種類と倍増している.

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参考文献

Hoffleit,D. (with the collaboration of Jaschek,C.): 1982, The Bright Star Catalogue, 4th Rev.Ed., Yale Univ.Obs.,New Haven,Connecticut.
Hoffleit,D., Saladyga,M. and Wlasuk,P.: 1983, A Supplement to the Bright Star Catalogue, Yale Univ.Obs.,New Haven,Connecticut.
日本天文学会 編,1989,新版星図星表めぐり,p.83.