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宇宙が,高温・高密度の物質で満たされた状態から爆発するようにして始まり,現在の姿になるまで膨張を続けたとする理論. アインシュタインの一般相対性理論は,未来までずっと不変に存在し続ける宇宙(定常宇宙論)ではなく,始まりのある活動的な宇宙を自然に予言する.ルメートルが1927年にこの活動的な宇宙を提唱した後,宇宙が実際に膨張している証拠がハッブルにより発見された. この膨張が過去からずっと続いていたとすると,はるか昔は,宇宙を満たす物質は圧縮されていて高温であったはずである.宇宙の温度が3000K(度)だった頃の光は,現在宇宙背景放射としてはっきり観測されているし,宇宙の温度が数10億Kだった頃に軽い元素が次々と作られていった証拠(参考:宇宙の熱史)も発見されている.これらを突き詰めて考えていくと,超高密度で超高温の物質で満たされた領域が爆発するようにして宇宙が始まり,宇宙が膨張を続けていくにつれて温度が下がり,いろいろな元素が生まれてきたことになる.宇宙が爆発するように生まれたという意味で,この考えをビッグバン宇宙論と呼ぶ. 上記のように,
という明確な観測証拠があるので,定常宇宙論ではなく,ビッグバン宇宙論が正しいのだと考えられている.標準的な宇宙モデルとされているフリードマン宇宙モデル(参照:膨張宇宙モデル(宇宙の将来))においても,宇宙はビッグバンから始まり,その後膨張する. |