古代バビロニアの天文学 Astronomy in ancient Babylon

紀元前2000年頃から紀元前400年頃までバビロニアで行われた天文学は当時としては数学に裏打ちされた高度なもので,後のギリシャ文明に引き継がれた.主な成果としては,太陽,月,惑星などに対する天空上の運行記録や,星の出没に関する観測結果などがあげられる.惑星の不規則な運行の観測は,それに基づいて運命を占う,宿命占星術に役立てられた.バビロニアでは太陰太陽暦が採用され,閏月の置き方はメトン法と同じで,19年に7回の閏月を置くものであった.周天を360度に分割する工夫がなされ,10進法に加えて60進法も使用され,太陽,月,5惑星の運行を,定量的に記載するようになり,お互いの基本的な周期関係も解明された.惑星等が動く星座として,獣帯とそれを分割した黄道12宮も考案された.星座の知識もギリシャに伝えられ,今日の星座の起源となった.他に昼夜の長さの変化,周期的に変化する量を記述するのに等差級数の利用などがあげられる.バビロニア人たちが天体観測に用いた器具は,水時計,火時計,半球儀であった.そのうち半球儀(日時計の一種)は彼らが発明したものである.その測定精度は紀元前7世紀には角度で6分,時刻で45秒までに達した.かれらは1日を12等分した.