とかげ座

学名:Lacerta ・略符:Lac・概略位置:赤経22時25分・赤緯+45度・20時南中:10月24日・肉眼星数:49・星座面積:201平方度

ペガスス座の北側で,アンドロメダカシオペヤケフェウスはくちょうに接した小さな星座.近世までこの付近には星座がなかったが,17世紀に活躍したドイツの天文学者ヘベリウスによって創設された.

■日本人の発見したとかげ座新星物語

1936年6月18日20時40分頃,長野県諏訪市の天文アマチュア五味一明氏は友人二人と,6月19日の皆既日食の観測のため,北海道の北のはずれに近い幌延(ほろのべ)村に滞在していた.日食を前日に控え,集まった村人たちに星座説明をしているとき,ふと見上げた北東の空,ケフェウス座の右下付近の星列が変なことに気づいたのです.それはケフェウス座の有名な変光星δ星とζ星ε星で綴る小さな二等辺三角形のすぐそばに,見慣れない4等星の星がもう一つ輝いていた.「新星では?」と考えた五味氏は友人とも確認しあってすぐさま東京天文台(現:国立天文台)へ新星発見の電報を打ち,日食観測で北海道を訪れていた日英の観測隊にも鉄道電話でしらせた.五味氏の発見から4時間後にはソ連(現:ロシア)のグルコフ氏が発見し,その日のうちに合計12名の独立発見者があったが,五味氏の発見が一番早かった.

五味氏の発見した新星は,前日にドイツのバンベルヒで撮影された写真によると13等級以下で,急激に増光したことがわかった.とかげ座新星は最大2等級まで増光したが,ピークに達するとすぐに減光をはじめ,発見から3週間後には6等級まで減光し,1年足らずで11等級まで下がり,現在は15等級になっている.