流星発光のメカニズム

流星は,太陽をまわる小さな砂粒(流星物質)が,地球大気と激しく衝突して蒸発しプラズマ化したガスが発光する.

夜空に見えるほとんどの星(恒星)は,太陽と同じで,その中で核融合反応をおこすことで高温となり発光する.また,金星火星のような惑星,月のような衛星は太陽の光を反射して輝いている.流星も,もともと太陽を巡っている.しかし,砂粒大以下ととても小さいので,反射して輝く様子はわからない.しかし,そんな砂粒(流星物質)でも地球大気とはげしく衝突することで,一瞬,明るく輝く.その様子を追ってみると以下の通りになる.

流星物質が大気と衝突すると熱を帯びて蒸発し,さらに電離したガス(プラズマ)になる.

そのガスは走りつづけ,空気中の分子と激しく衝突する.

それによって,衝突された分子や流星物質のガスが発光をおこす.

身近には,電子に高い電圧をかけて高速にし,分子に衝突させて発光させるものとして蛍光灯やネオンサインがある.流星は,天然のネオンサインだともいえる.

ちなみに,流星物質の衝突速度は,秒速11km〜72km.地球は秒速30kmで太陽を公転するが,流星物質も地球の近くでは秒速30−40kmで運動している.よって地球に「追突」する場合と「正面衝突」する流星で,ずいぶん速度が違う.いずれにせよ,新幹線は秒速0.08km,スペースシャトルでも秒速8kmだからその速さがわかる.流星は,大気がほとんど真空にちかい,地上120kmほどから光りはじめ,低くとも80kmくらいまでしか光らない.それより低いところでは大気が濃くなり,それが流星物質のガスに急ブレーキをかけるためである.

もし,垂直に流星物質が突入してきたら,1秒間程度で発光が終わってしまう.仮に,5秒,10秒と光る流星があったら,それは全部が蒸発しない流星物質がつっこんでいる.そして,地上まで到達すると隕石と呼ばれる.ただ,地球と衝突する前の軌道を詳しく調べてみると,隕石になるような大きなものは,小惑星の軌道に近いことが知られている.

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