ケンブリッジ天文台 Cambridge

1945年開設.マラード観測所ともいわれる.イギリス・ケンブリッジ近郊のマラードに13m電波望遠鏡×8基.全長5kmの電波干渉計がある.ケンブリッジ大学の付属施設である.

1946年,電波天文学の初期から活動していたライルは,太陽の電波による観測にとりくみ,分解能の不足から干渉計を利用することに思い立った.それによってポーセイは太陽の電波領域が黒点に一致することをしめしたが,これはすでにイギリス陸軍チームのヘイが発見していた.

ケンブリッジ天文台では,ジョドレルバンク天文台と競うように干渉計技術を発展させ続け,1950年代には多素子干渉計で500個の電波天体を発見.第3ケンブリッジ電波源カタログを作った.これは3Cカタログとして知られる.この3Cカタログに載っていた3C273は,初めてクエーサーとしてパロマ天文台のマーティン・シュミットらに確認された天体である.なお,ケンブリッジ電波サーヴェイによるカタログは1C〜8Cまである.ケンブリッジ天文ではクエーサーの議論に決着をつけるために極めて解像度の高い干渉計を作った,それは観測信号を電線や無線で接続するのではなく,観測記録をあとで計算機の中でつきあわせる方法(開口合成)によるものであった.

1967年,ケンブリッジ天文台でヒューイッシュとその弟子のベルは電波観測データ整理中におうし座のかに星雲にあるパルサーを発見している.超新星爆発を起こしたあとに残った中性子星が高速回転するために起こる現象だが,はじめはあまりに規則正しいため人工的な信号ではないかとも考えられた.ヒューイッシュはこの業績など電波天文学に関する諸研究によりノーベル物理学賞を受賞している.

また,ケンブリッジには1820年開設の光学天文台があり,91cm反射望遠鏡・43cmシュミットカメラなどがある.

yw.gif