ウィルソン山天文台

1904年開設.アメリカ合衆国カリフォルニア州ウィルソン山にある世界で初めて山の上におかれた天文台.シカゴ大学の天文学者ヘールの資金調達の尽力により開所された.太陽塔望遠鏡のほか,1909年の完成当時世界最高の性能を誇った152cm反射望遠鏡.さらに歴史的な257cmフッカー反射望遠鏡がある.現在は,パロマ山天文台マウナケアのケック望遠鏡などと共に,カルテク(カリフォルニア技術研究所)に所属する.

257cmフッカー反射望遠鏡は1917年から30年間世界一であり続けた望遠鏡であり,その圧倒的な性能で非常に重要な発見が2つもなされている.1つは,ハッブルがセファイド変光星を用いてアンドロメダ“星雲”の距離を測定,銀河系外の天体だということを示した.また同じくハッブルはフマーソンとともに銀河の輝線スペクトルの赤方偏移(つまり後退速度)と距離の関係をしらべ,宇宙が膨張していることを示す「ハッブルの法則」を1929年に発見している.いずれも天文学のみならず宇宙観をかえる大発見だといえる.

152cm反射望遠鏡による成果としては,シャプレーによる系統的な球状星団の観測があげられる.これにより銀河系の中心が太陽から3万光年も離れた場所にあることが示された.

ヘルツスプルングやラッセルは152cm望遠鏡によって多数の恒星のスペクトル写真を得,それを使って,星が一定の系列にそって並ぶことを発見した(HR図).

スノー太陽望遠鏡によって,1908年にヘイル太陽黒点の磁場を発見している.

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