公募観測とは、週末の夜間公開終了後、23時から翌4時まで101cm望遠鏡を占用的に貸し出す事業です。眼視での観望、CCDカメラを用いた観測、分光器による観測、持ち込みカメラ(市販デジカメ)を接続しての利用などができます。利用には「101cm望遠鏡操作資格」が必要となります。

1. 観測の募集

1年を4月~8月、9月~12月、1月~3月の3期に分けて募集・観測日の割当を行います。それぞれの期の開始2か月程度前を目安に、天文台ホームページから観測募集の案内があります(例:9月~12月の観測に関しては、7月頃に募集案内)。観測募集では、観測日程や具体的な観測計画を記入し、内容を審査の上、美星天文台が観測日の割り振りを行います。

2.観測計画の立案

自身のテーマに沿った観測プランを計画します。観測する天体と観測モードの決定を行います。1晩を有効に活用するため、時間ごとに観測する天体や、標準星・キャリブレーションデータ(フラット等)の取得時間も考慮した観測計画を立案します。

眼視観測

接眼部はターレット式での接眼レンズが選択可能となっており、150倍、300倍、430倍のアイピースが使用できます。また、2インチ径アイピースを持ち込んでの使用も可能です。

CCDカメラ

冷却CCDカメラ(ATIK 16200), 冷却カラーCMOSカメラ(ZWO ASI6200)が使用可能です。レデューサーの使用により、F/6とF/12が選択可能です。視野角は約6.8分角(F/12)で、RGBフィルター及びB, V, R, I, Hαフィルターが選択可能です。V-band装着時の60秒積分限界等級(5-σ, ABmag)は約19.5等です。

CCDカメラは主にディープスカイの撮影や、測光観測に使用されます。3色カラー合成用のフィルターと、科学測定用のBVRIHαフィルターを使って、きれいな天体写真の撮影や、小惑星・変光星の連続測光観測などに用いられます。視野角はそれほど広くないので、適切な天体選びが重要になります。右の馬頭星雲は、HαフィルターとG, Bカラーフィルターでそれぞれ120分, 20分, 20分ほど撮影したものを合成しています。

分光器

グレーティング+スリット分による、低~中分散(R=1500~15000)の分光器です。グレーティング素子の切り替えにより、分散値を変更可能です。低分散モードで、約4000-8000Å帯域の分光が可能です。シーイングサイズや天体の色にもよりますが、低分散で約15等前後の星まで分光可能です。

分光器は超新星などの突発天体の分光や、学生実習として星雲の分光などで使用されます。右図は、約14等級の新星の5分露光1枚でのスペクトル図です。観測天体や露光時間決定のための参考になれば幸いです。

持ち込みカメラ

1/2縮小光学系(F/6)が入っています。Tリングを介して、各種一眼レフカメラなどがご使用いただけます。 TリングはキヤノンEOS用、キャノンFD用、ミノルタ用、ソニーα用、ペンタックス用、ニコン用、プラクチカ用があります。APS-Cサイズ(23.4 x 16.7mm)の素子を持つカメラを装着した際の視野は、12.8 x 8.6分角程度です。

3. 観測日の決定

割り振りでは、原則として期内の1週末(金・土・日の3夜)が候補として割り当てられます。観測者は、天気予報などを元に、観測を行う1夜を決定します。仮眠室(1部屋4人まで、最大4部屋)を利用される場合は、1週間前までに利用人数を天文台へご連絡ください。

4. 観測当日

観測当日の夕方までに観測実施/延期の判断を行い、天文台へご連絡お願いします。23時までに準備を整え、美星天文台2階待機室にて待ちます。遠隔観測の場合は、天文台の用意する手順に沿って準備・待機をお願いします。観測終了後、望遠鏡使用料金(井原市美星天文台条例, 別表)をお支払いいただきます。遠隔観測の場合も、天文台職員の指示に沿ってお支払い手続きをよろしくおねがいします。