精密な天体観測を行ったティコ・ブラーエ Precised Observation by Tycho

スウェーデン出身の天文学者ティコ・ブラーエはデンマーク王の援助を受け,ウラニボリ天文台で20年間にわたって精密な天体観測を行った.ティコの最大の功績は今までにないほどの精度で天体の位置の測定を行い,ケプラーの法則をはじめ,将来の天文学上のあらゆる進歩の基礎を築いたことにある.彼は日中に見える金星を使用して星の位置を測定したり,子午線を通過する時間から赤経の差を測定したりした.彼の天体の位置測定の最大の特徴は角距離の測定であった.半径6mの四分儀を使用して,精密な観測を行った.また,今日の経緯儀の原型となった方位角四分儀を製作し,角度の秒単位まで正確に位置を測定した.

ティコは,この装置で年周視差を測定することができなかったので,コペルニクスの説に賛成せず,太陽のまわりを水星金星がまわり,それを含めた惑星と太陽が地球のまわりをまわっているという説を唱えた.また,「ティコの星」と呼ばれた超新星を観測したりした.1588年,保護者の死去により故国をさり,プラークに移り,観測に従事し,1599年,助手としてケプラーを招請したあと,1601年に没した.その後,ケプラーは彼の16年間にわたる火星の観測を利用し,ケプラーの法則を発見した.

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参考文献

ダンネマン,大自然科学史4,1978,三省堂
ジャクリーン・ミットン「天文小辞典」1996,地人書館