観測史上初の恒星間彗星、ボリソフ彗星の観測

美星天文台で捉えた恒星間彗星C/2019 Q4 ボリソフの写真

2019年8月30日にクリミア天体物理天文台で発見されたボリソフ彗星(2I/Borisov, 旧C/2019 Q4)は、その独特な双曲面軌道から、我々の太陽系の外からやってきたのではないかと考えられている恒星間彗星です。 2017年に見つかったオウムアムア(ʻOumuamua)に次いで、観測史上2番目の太陽系外からやってきた天体(オウムアムアは小惑星であり、彗星としてはボリソフ彗星が史上初)と考えられており、どこからやってきたのか、太陽系外の物質がどのような構成になっているかなどを調べる絶好の機会となっています。 美星天文台では、恒星間彗星発見の報を受け、この未知なる天体を捉えるべく観測を実施しました。 上の写真は、日本時間9月15日と9月16日の朝、美星天文台101cm望遠鏡で撮られたボリソフ彗星の写真です。写真中、赤い線で指し示されている天体がボリソフ彗星です。 この彗星はまだ地球から遠く離れた場所(3.5 AU, 約5億km)にあるため、非常に淡くしか見えません(~17等級)。 周囲の星が線に伸びているのは、望遠鏡の視野を彗星の動きに合わせているためです。 美星天文台から観測可能となる時間と日の出の時間が近く、十分な露出時間が確保できなかったため、残念ながらこの画像からは彗星状に広がっているかの判別はつきません(他の天文台の観測では、ぼんやりと広がったガスもしくはダスト成分が見えているものもあります)。 ボリソフ彗星はこの冬にかけて太陽に最接近し、再び太陽系の外へ飛び出していくと考えられています。 しかし残念ながら、最も明るくなる頃でも明るさが15等級程度と暗く、望遠鏡や双眼鏡を使っても、目で見ることはかなり難しいと考えられています。

太陽系内でのC/2019 Q4 ボリソフ彗星の位置

観測の詳細

Mid. Obs date2019-09-15 04:19:00 (JST)
Exposure time30 seconds x 17 frames (total 510 sec)
FilterI-band
Brightness~17 mag. (detailed analysis is ongoing)
Instruments101cm telescope + STL-1001E (D=1010mm, f=12120mm)
Mid. Obs date2019-09-16 04:29:45 (JST)
Exposure time60 seconds x 20 frames (total 1200 sec)
Filter R-band
Brightness~17 mag (detailed analysis is ongoing)
Instruments101cm telescope + STL-1001E (D=1010mm, f=12120)