■ 人名辞典【と】 ページ  - -

ドッペルマイヤー Doppelmayr, Johann Gabriel (1671?−1750)

ドイツの天文学者,数学者,物理学者,数学史家.1696年アルトドルフ大学に入学,法律を学んだが,数年後物理学と数学を研究するためドイツ,オランダ,イギリスの各地に2年間遊学,1704年ニュールンベルクに帰り,同地のギムナジウムの数学教授に就任,終身これを職とする.講義のほか,執筆,天体観測,気象観測,物理実験などに力を注ぐ.天文学書が数冊あるが,コペルニクス学説を支持するものが多く,また1742年出版の「新編星図」は天文学入門書として名高い.電気の実験中に感電のため死去.

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参考文献

中山茂編「天文学人名辞典」恒星社


ドナチ Donati, Giovan Battista (1826−1873)

イタリアの天文学者.天体分光学の先駆者で,ピザ大学を卒業後,1852年フィレンツェの天文台員となり,1864年台長.1858年6月2日,有名なドナチ彗星を発見したことで知られる.主として彗星,天体物理学,気象物理学についての研究を行う.1860年スペインの日食観測に遠征したのち変光星の分光学的研究に没頭し,15個の恒星と太陽のスペクトルの比較研究を行い,さらに彗星のスペクトル観測に成功.彗星が太陽に接近すると,スペクトルが著しく変化することを見いだした.1886年には彗星スペクトル中に炭素含有物の輝線を発見した.1870年5個のプリズムを持つ分光器を試作し,同年のシチリア島の日食観測に用いた.

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参考文献

中山茂編「天文学人名辞典」恒星社
アシモフ「科学技術人名事典」共立出版


ドミニクス・デ・クラヴァジオ Dominicus de Clavasio (別綴 Dominicus de Clavagio, Dominicus Parisiensis, Dominic de Chivasso (14世紀中期)

パリで活動した数学者,医師,占星術師.生地は不詳.1340年代中頃からパリで活動し,1350年頃医学博士,同地で医術などを教授,またフランス王ジャン2世の宮廷占星術師.1357年から1362年の間に死去したと思われる.主著「実地測地学」の中でプトレマイオスを紹介,また13世紀の数学者・天文学者ノヴァラのカンパヌスの業績にふれる.

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中山茂編「天文学人名辞典」恒星社


トムソン Thomson, Sir William (1824−1907)

アイルランド生まれのイギリスの物理学者.ケルビン卿ともいう.グラスゴー大学,ケンブリッジ大学を卒業し,1846年グラスゴー大学物理学教授,1904年同大学総長.大学院在学中の1842年,固体内の熱伝導とそれに関連した電気伝導の数学的理論を論じた.また1845年静電気における鏡像法を示した.また同年誘電体のヒステリシス現象を発見.1848年には絶対温度目盛を導入.1851年に熱力学の第2法則を独自に導出,1853年には振動電流理論の基礎を築く.1855年,海底電信の研究を行い,大西洋電信会社に招かれ,電線の敷設を指導.このために信号受信用の鏡検流計やサイフォン・レコーダーを発明.また金属の電気特性を研究,磁気の数理も探求.このほか原子理論の発展に貢献し,また多くの器械を創案した.

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中山茂編「天文学人名辞典」恒星社


朝永振一郎 Tomonaga, Shinichiro (1906−1979)

日本の物理学者,ノーベル物理学賞受賞者.

相対論的電子量子力学の理論を発展させ,場の量子論と相対性理論の整合を行った,この業績で1965年に,ファインマン,シュウインガーとともにノーベル物理学賞を受賞する.

1929年京都大学卒業,1941年に東京文理科大学教授.1956年に東京教育大学学長.

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参考文献:「科学者人名事典」丸善


トヨン Thollon, Jouis (1829−1887)

フランスの太陽物理学者.1878年ニース天文台から分光器の製作助手を依頼され,4個の分散プリズムからなる高分散分光器を設計,1883年に完成.また,詳細な太陽スペクトル図を作成.これには赤から緑までの領域に,太陽起源の2336本,地球起源の1112本の合計3448本のスペクトル線が描かれており,その位置ばかりではなく,太陽高度,空気の状態による強度を示し,大気外の状況も外挿して示してある.また,1882年には,彗星のスペクトル観測から速度を測定して注目された.

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中山茂編「天文学人名辞典」恒星社


ドライヤー Dreyer, Johann Louis Emil (1852−1926)

デンマーク生まれ,アイルランドで活動した天文学者.コペンハーゲンの生まれで,同地の大学で1874年修士号を,1882年博士号を取得.1874年アイルランドのロス卿の天文台助手となり,1878年から82年までダブリンのダンシング天文台に勤務,1882年〜1916年アーマー天文台長として1859年以来の星の位置観測を整理し,2300星を含む「第2アーマー星表」を1886年に発表.1875年王立天文学会会員,1823〜26年には同会長を務めた.「星雲星団新総目録(通称NGC)」は7840個の星雲星団を収録し,ドライヤー最大の業績であって,今日も星雲星団の基本的目録として使用される.また,これの追加目録も出版し13,000個の星雲星団を収めるものとなった(通称1IC, 2IC).また1912年W.ハーシェルの論文集を編集,伝記を添えて出版.またティコ・ブラーエの伝記と全集を編纂.

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中山茂編「天文学人名辞典」恒星社


ド・ラ・イール de La Hire, Philippe (1640−1718)

フランスの天文学者.若くして遠近法,実用機械学,絵画に関心を持つ.イタリアで古典幾何学とくにアポロニウスの円錐曲線論を学び,1673年「幾何学の新方法」を出版.1678年科学アカデミー会員となり,1679〜82年は測地事業に参加.1682年コレージュ・ロワイヤルの数学教授に任命され,自然学の講義を行う.気圧・温度などの実験物理学の研究も行った.また1684年ベルサイユ宮殿への給水のための測量を行った.1689年王立建築アカデミー教授.1695年主著Traite de Mechaniqueを出版.

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中山茂編「天文学人名辞典」恒星社


トランプラー Trumpler, Robert Julius (1886−1956)

スイスの天文学者であるが,その大半をアメリカで過ごす.ゲッティンゲン大学を卒業後,散開星団の運動に興味を持ち,1915年アメリカのアレゲニー天文台に入り,1920年リック天文台助手.1939年からカリフォルニア大学教授.リック天文台では1922年のオーストラリア日食の際,皆既中の太陽近傍の星を撮影して星の位置の偏移を求めて一般相対性理論を検証.1924年の火星大接近の時,観測によって運河の実在を主張.また散開星団に関しての研究を主とし,1925年散開星団によって構成する星の種類が異なることを示す.また,散開星団の距離が星間物質を考慮した場合非常に近いことを示した.1930年,334個の散開星団について詳細なデータを発表.

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中山茂編「天文学人名辞典」恒星社


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