■ 人名辞典【ち】 ページ 

チェンバレン Chamberlin, Thomas Chrowder (1843−1928)

アメリカの地質学者.1866年ベロア・カレッジを卒業し2年間高校長を務めた.1868〜1869年ミシガン大学大学院で研究を行い,1873年から母校の地質教授を兼ねながらウィスコンシンの地質調査に参加.1881年からアメリカ地質調査の氷河部門を指揮.1887年〜91年ウィスコンシン大学学長.1892年シカゴ大学の地質学科主任.氷河時代の研究から過去の気象変動の問題に取り組み,地球の初期の歴史について微惑星仮説を展開.

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中山茂編「天文学人名辞典」恒星社


チスラン Tisserand, Francois Felix (1845−1896)

フランスの天文学者.高等師範学校卒業後パリ天文台の助手.1873年トゥルーズ天文台長,1878年パリ大学教授,1883年ソルボンヌ大学教授を経て1892年パリ天文台長.天体力学の分野で活躍し,月行理論,摂動論,天体の形状と自転などの研究に業績を残す.1889年の“チスランの判定式”は彗星・小惑星の同定に用いられるものとして有名.1868年にマラッカ日食に参加,ほかに1874年金星太陽面通過観測のため来日,また1882年サント・ドミンゴへ出かける.著書に「天体力学概論」,また「天文学報告集」の編集主幹を務める.

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中山茂編「天文学人名辞典」恒星社


チチウス Titius, Johann Daniel (1729−1796)

ドイツの自然科学者.1752年オイラーの月行理論の研究で修士号を得る.1756年ヴィッテンベルク大学教授,1768年学長.物理学,生物学,神学,哲学,歴史学の著書多数.外国書の翻訳を通じ学問の普及に努める.天体観測は行わなかったが,“チチウス・ボーデの法則”で有名.

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中山茂編「天文学人名辞典」恒星社


チホフ Tikhov, Gavriil Adrianovich (1875−1960)

ソヴィエトの天体物理学者で天体植物学の創始者.1897年にモスクワ大学を卒業すると,フランスのソルボンヌ大学に留学(1898〜1900)し,ムードン天文台で指導を受ける.帰国後,数学教師の傍ら1906年プルコヴォ天文台に入る.第一次大戦後プルコヴォに戻り,1919〜31年レニングラード大学教授.コロナの分類,周期変光星アルゴルのチホフ・ノードマン効果の発見に成果をあげる.1947年に天体植物学を創始し,火星の植物生存についての研究のために高地植物の生態調査を行った.

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チモカリス Timocharis (BC3世紀)

アレキサンドリアの天文学者.アリストテレスまでの思索的天文学から,現象そのものを研究する風潮が生まれつつあった頃の科学的天文学の先駆者の一人.角測定の手段を用い,主要な恒星の精密な位置を測定し,約150個の測定値を収めた星表をつくった.

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チャージィー Chazy, Jean Francois (1882−1955)

フランスの数学者,天体力学の計算に業績を残す.1910年3次以上の微分方程式に関する論文で,ソルボンヌ大学から博士号を受ける.第一次大戦中は,音源探知法の分野で科学動員で活躍.1925年から1953年までソルボンヌ大学教授で力学を担当.

1919年以降,ニュートン力学の三体問題に取り組み,2つの質点の位置と速度によって構成される2次元空間内で第3の質点が束縛された軌道を描くことを論じた.1921年から相対性理論に関心を持ち,彗星の近日点移動について正確な理論的数値を算出.また光の伝播速度が重力の影響を受けることも早くから予言.

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チャリス Challis, James (1803−1882)

イギリスの天文学者,1821年ケンブリッジ大学トリニティー・カレッジに入学し,卒業後,1826年から30年まで特別研究員.エアリーの後任として1835〜82年プリュミアン天文学教授職,1835〜61年ケンブリッジ天文台長.1845〜46年にアダムスエアリーに求められた観測を放置して海王星を“発見”したことに気づかなかった.

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チャンドラー Chandler, Seth Carlo (1846−1955)

アメリカの天文学者.1861年に高校を卒業,1864年から沿岸測量局の仕事に加わる.保険数理士として生計を立てていた.1881年ハーヴァード大学と協力,彗星発見の電話情報伝達システムである科学観測コードをつくる.その後,彗星変光星の研究を行う.また,1891年緯度が14カ月周期で0.3秒の振幅で変化していることを報告.1896〜1909年Astronomical Journalの編集者を務め,1896年王立天文学会から金賞,1895年全米科学アカデミー・ワトソン・メダルを受賞.

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チャンドラセカール Chandrasekhar, Subrahmanyan (1910−1997)

インド生まれのアメリカの天体物理学者.ノーベル物理学賞受賞者.1930年マドラスのプレシデンシ大学卒,1933年イギリスのケンブリッジ大学でエディントンの指導のもとに学位をとり,1936年渡米.1937年シカゴ大学およびヤーキス天文台研究員.1938年同助教授,1942年同准教授,1944年以降同教授.白色矮星の内部構造を研究.1932年平衡状態にある白色矮星の質量に上限がある(太陽の1.5倍まで)ことを理論的計算によって示す.現在,白色矮星が重力崩壊してしまう臨界質量を“チャンドラセカール質量”,そのときの半径を“チャンドラセカール半径”と呼ぶ.1983年に“星の構造と進化にとって重要な物理的課程の理論的研究”でノーベル物理学賞受賞.

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チョーサー Chaucer, Geoffrey (1340頃−1400)

「カンタベリー物語」で有名なイギリスの詩人で,天文器具についての著作も残している.宮廷などで様々な官職に就く.天文学に関する著作にはアラビアの影響がみられる.

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