馬頭星雲の撮影

冬の代表的な星座、オリオン座。その中には、肉眼ではとても見えないような暗い星雲がひしめき合っています。カメラを使って長時間露光を行うと、このような星雲が次々と浮かび上がってきます。今回は、そんなオリオン座にひしめく星雲のうち、「馬頭星雲」と呼ばれる星雲を紹介したいと思います。

宇宙を漂う星雲には、様々な種類があり、電離した水素が赤く輝く「HII領域」や、低温の分子ガスが漂う「暗黒星雲」などが有名です。馬頭星雲は、赤く輝くHII領域の前に、黒く光を吸収する暗黒星雲が並んでおり、この暗黒星雲の形が馬の頭に似ていることから、このような名前で呼ばれています。

写真はオリオン座から馬頭星雲まで、様々な焦点距離のカメラ(望遠鏡)でクローズアップしたものであり、きれいに赤く輝くHII領域の中に、シルエットのように浮かび上がる馬頭星雲の様子がわかります。

オリオン座と、馬頭星雲の位置

HII領域からの光は、非常に淡く、また赤外線に近い色なので、残念ながら人間の目ではほとんど見えません。上の写真も、カメラを使って1時間以上、シャッターを開けっぱなしにしてようやく撮れたものになります。目では見えませんが、オリオン座を見つけた際には、こんな星雲もあるのだなと思って眺めると、いつもとはまた違った見え方になるかもしれません。

口径18cm望遠鏡で撮影した馬頭星雲周辺
101cm望遠鏡で撮影した馬頭星雲

撮影情報

撮影者天文台職員
撮影日時2021/2/10
観測装置カセグレン N焦点 + STL-1001E
撮影バンドHα: 120分, G: 20分, B: 20分, 3色合成

101cm望遠鏡公募観測

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